植 物

植物相調査

植物相調査(フロラ調査)では、対象地に生育する全ての植物をリストアップします。植物は生態系の基盤であり、種によって地形・地質・日照・水分条件など生育環境が異なることから、環境の指標ともなり、自然環境の基礎情報として重要です。


調査の際には、対象地の環境特性や地域性などを考慮し、様々な環境を巡るよう心がけます。様々な植物種の生態を認識した上で踏査するため、技術力と経験が必要です。また、室内での同定が必要な植物は持ち帰って調べ、さく葉標本にして保管します。標本にするための植物は、数多くある類似種の中での区別点を把握した上で、適切な個体または部位を採取する必要があります。


なお、一般的な植物相調査の対象は、シダ植物以上の高等植物(維管束植物)です。

 

植生調査

植生調査では、対象地に成立している植生のパターンを把握します。植生は、ある場所に生育している植物の集団であり、均質なまとまりをもつ単位によって構成されます。植生タイプによって成立する環境が異なるため、環境の指標としても重要です。

 

主な調査内容

  • 植生図作成調査
    植生図には、図示される対象植生に応じて、現存植生図、原植生図、潜在自然植生図などがあります。一般的には、現在の植生を図化する現存植生図が作成・活用されており、空中写真・現地調査により地図上に植生の境界線を入れて分布状況を図化します。また、植生図はGISを用いた環境解析における基礎情報として必要不可欠なものでもあります。
  • 植生調査(群落組成調査)
    対象とする植生のタイプごとに一定の枠(コドラート)を設置し、植物社会学的手法(Braun-Blanquetの全推定法)による植生調査を実施します。これにより、群落の階層構造、構成種などを把握します。
  • 毎木調査
    調査対象地内に生育する樹木の個体ごとに、種名・樹高・枝張り・幹の太さ・位置などを計測します。これにより、対象地の樹林の構造がより正確に把握できます。また、街路樹や公園樹などの調査を行うことも多く、生育状況(健全度)の診断を行うこともあります。

 

植物1 植物2