DNA分析

生物の遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)の配列には、種および個体に特異的な配列が含まれています。適切な手法を用いて個体や集団の遺伝情報を分析することにより、種判別、性判別、個体識別、親子関係、血縁関係、集団内の遺伝的構造、集団間・種間の系統関係などを明らかにすることができます。

 

主な分析内容

  • 種判別
    落とし主の不明な糞や羽、同定の困難な卵や幼体などからサンプリングし、種を特定する場合に有効です。サンプルからDNAを抽出し、分析します。主に「遺伝子増幅法(PCR)」をもちいて、種特異的な遺伝子配列を増幅します。増幅したDNAの遺伝子配列を解読・解析し、DNAデータベースと比較することにより、種の判別をおこなうことができます。
  • 個体識別
    集団内の遺伝的構造や血縁関係などを解明するために有効です。組織片や体毛、血液などのサンプルからDNAを抽出し、分析します。種判別の場合と同様に「遺伝子増幅法(PCR)」をもちいて、マイクロサテライトを増幅します。マイクロサテライトはDNAの配列にみられる短い繰り返し配列のことです。多型性が高いため、個体識別などを解析する際の有効な指標となっています。複数のマイクロサテライトを解析することにより、個体識別や、集団内の遺伝的構造、血縁関係を解明することができます。